あしかがフラワーパークが異界だったのでぜひみんなにも行ってみてほしい

「ヤバい藤が見たい」と夫が言うので行きました。2023.4.19の記録です。

あしかがフラワーパーク公式Twitterが「今年は藤の開花が早い!お早めに見に来て!」と連日訴えているのでこれは早く行ったほうがいい、なんなら訴えに応じた人類が押し寄せて週末は激混みしかねないので可能ならば平日に行ったほうがいいと判断し、休めそうな日を狙って出かけました。

あしかがフラワーパークの入園料はその日の開花具合によって変動する時価システムだそうです。4~5月の変動幅は800~2100円。すごい。画期的だ。入園料は当日朝に決定するとのことで、出かける数日前から入園料の変動を眺めていました。

そして当日。入園料はこの日初めて今シーズン最高額2100円を記録しました。
これはパークの皆さんお墨付きの花の見頃であると言って間違いありません。天気も晴れ、最高の藤日和です。これは最高の風景が見られると期待しないわけにはいきません。

せっかくの大物に会いに行くので久しぶりにカメラを外に持ち出します。うちのベランダ花たちをできるかぎり美しく撮りたくていろんな人に相談して買ったFUJIFILM X-S10、被写体が全員家にいるために外にほとんど出ずもっぱらベランダのつつましい花たちを撮影してきた箱入りが、購入からおよそ2年を経ていよいよ外界の大物と対峙することになりました。

ベランダの花(とときどき菓子)撮影に本当に特化しているためレンズもXF60mmF2.4 R Macroしか持っておりません。これがうちの標準レンズです。本当にいけるのでしょうか。いや大丈夫だってマクロだって中望遠レンズなんだからいけるって!

以下、すべてFUJIFILM X-S10 XF60mmF2.4 R Macroでの撮影写真です。色味など特にいじっておりません。基本撮って出しです。

うす紅藤

入場してまずたどり着くのがこの藤棚なんですけれどいきなりすごい。園内で最も早く開花する藤で、品種としては『口紅藤』という名前だそうです。かなり色が薄くて単体だとほとんど白に見えるんですが、大挙して咲いているので全体はしっかり薄紅色に見えます。すごく美しい。藤だから藤色の花目当てにしていたものの、いきなりのこれで「違う色の藤もいい!」とすっかり心をつかまれてしまいました。こんな量の藤の花はなかなか見られません。圧倒的です。

園の奥にはうす紅藤の橋もあります。

これがもうほんと異界に続いているとしか思えない。ここに至るまでにも大小さまざまな藤を見ることになるんですが、そんな藤の世界に圧倒されながら進んだ先にこんな橋が出てきたら「異界だ!異界に続いてるんだ…!」としか思えなくなります。もう帰れないかもなと思いました。

ハナミズキのアクセントも綺麗です。

大藤
樹齢160年、1200畳の大藤棚です。ちょっと数字がインフレしていてよくわかりませんが実際に見てもよくわかりません。すごくてめちゃめちゃ美しいことしかわかりません。

4.19時点ではまだ咲き切ってはいませんでした。しかし綺麗だし迫力がすごい。1200畳の藤棚なんて見たことないですから非日常感がすごい。

ところで藤っていい香りするんですよ。しかもかなり強く香る。観賞のために藤棚の下に入るんですが、花で日差しが遮られ、花の香りを強く感じる空間になるのでまるで結界の中にでも入ったかのようです。他に見物客がいるからいいものの、ひとりだったら普通に怖いかもしれません。花を見るにしても圧倒的な大きさを誇る花に視覚も嗅覚もすっぽり包まれる体験ってそんなにないのでとても新鮮で、その圧倒的な力によって異世界が形成されていると本気で思うくらいでした。

あしかがフラワーパークはCNNによって「世界の夢の旅行先10カ所」に選ばれているそうですが、それも納得する異世界体験です。夢ですよ本当に。

むらさき藤のスクリーン
藤棚は垂直にも作れる。

ここはマクロレンズの限界によって断片的な写真になりますが、藤が滝のように仕立てられています。とにかく藤棚の概念を塗り替えていくスケールのでかさが続くあしかがフラワーパーク。藤棚の足元に池があるので、ライトアップしたら花が池に写り込んで映えること間違いなし。

八重藤

『八重黒龍』という品種です。名前がかっこいい。色がかなり濃くて名前通りの八重咲き。花房は他の藤より短めのようです。品種によって香りも違うみたいで、この藤は他より西洋の花っぽい強さがありました。遠目で見るとぶどう畑っぽい。単体でも派手な見た目の品種は集団になるといよいよ存在感がすごいですね。

大長藤
花房が180cmくらいまで伸びるらしいです。人間の身長か?

私が見たときはまだ人間の頭上にありつつ、花房の先端がぎゅっと詰まっていてまだまだ伸びるポテンシャルはあるぞといわんばかりの姿でしたが咲き切っていないこの雰囲気も美しい。この藤棚は池の近くにあって、池を渡りながら藤を見る状況はまたしても異界でした。平安時代の極楽とかこういう感じだったのかもしれない。

白藤&きばな藤
4.19時点では見頃はまだまだ先でした。GW中はちょうど見頃かも。

白藤もきばな藤も大きな藤棚がありますがそちらは咲いておらず、園内の植え込みに咲いているものを見つけました。園内は藤棚だけでなく通路のそこらじゅうに藤のかたまりが植えてあります。そのひとつひとつも十分な美しさでありながらそれをさらに圧倒するものがある、すごい場所です。たぶん鬼も一歩入った途端に死にます。

白藤のトンネルも満開で見てみたいですね。絶対に美しい。きばな藤は欧州原産だそうで、色味もあってなんだかすごく元気になりそうな感じがしました。

藤以外のひとたち

八重桜も見頃でした。

コデマリかと思ったらオオデマリ。行き交う人が口々に「えっコデマリじゃないの?オオデマリってあるんだ!」と素直に漏らしていて共感の嵐でした。

ツツジっぽい強そうな花。なんでしょうかこれは。

あしかがフラワーパークはぜひおすすめのスポット
非常によかったです。いい体験をしました。藤を全身に浴びるスポットはあまり多くないので、藤になじみがない人にもぜひおすすめします。それぞれの品種のピークも見たいし、夜のライトアップもきっと絶景なのでそれも行ってみたい。

あと藤は基本頭上にあるので撮影時に他の人が写り込みにくい。マクロレンズを接写以外に使うと被写体からかなり距離を開ける必要があり、これを水平方向の被写体でやるとだいたい間に人が入って撮影が難しくなるんですが、頭上の被写体ならそんなこともありません。マクロレンズに優しい花でした。花房が微風でも繊細に揺れるので花房単体のピント合わせは泣きますが、大スケールの藤棚になると大平原みたいでピントも何もあったものじゃないのでそこも楽でしたね。来年また行こうと思います。とてもいいところでした。

そして藤を買う
あしかがフラワーパークは植物も販売しています。藤の鉢植えももちろん。あんな花を見てしまったら買って帰るしかありません。これはもう仕方のないことです。

うす紅藤が綺麗すぎたので買おうと思いきやほとんど鉢が残っておらず、やや色が濃く小さい鉢植えでの鑑賞だとこのくらいの色でちょうどいいのでは、と思った本紅藤と、夫が選んだ一重黒龍を購入しました。店頭で栽培難易度★~★★★の表記があり、どちらも★★でまあ2段階目だったらいけるんじゃないかと。うちには去年からレモンがいるのでもう樹木は増やさないつもりでいたのに不思議ですね。

本紅藤のほうが開花が遅かったのでしばらく楽しませていただきました。今は黒龍とともに花が終わり、尋常じゃなく葉と蔓を伸ばしています。生命力のかたまり。つる植物ってほんとタフなんだよな。

エネルギーが強いせいかめっちゃ虫が来て、新顔の植物には新顔の虫がつくので観察しつつ対処を学びつつ虫を倒す日々です。来年も花が咲くかどうかは管理者の手にかかっているところもあるのでしっかりやっていきます。美しい藤が家で見られるなんてめっちゃ贅沢だもんな。