【ステイホーム園芸生活】水やりのタイミングがわからないので文明に頼って結果を出す

水やりのタイミングがわかりません。
根腐れした朝顔、カビが生えて腐った球根、もう二度とあんな思いはしたくないのに。
植物たち、おろかな地上生物を許してくれ。

「表面が乾いたらたっぷりと水やり」の謎

鉢植えの植物の基本は「土の表面が乾いたら鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水をやる」といわれます。いわれます、いわれますが、土って表面は乾いてるけど少し掘ってみると乾いてない、ってことよくあるじゃないですか。というか土ってそういうもんじゃないですか。あれ、根は地中にあるものなのに地表の状態を指標にしてほんとにいいんでしょうか。

植物を育て始めてまず疑問に思ったのがこれでした。土表面の乾燥と地中の乾燥が同レベルで進行するとは考えにくいですから、表面が乾いたといっても地中にはまだ水が残っていると思うんですよね。特に深めの鉢は表面と内部の状態がずいぶん違ってくるように思えます。
表面の状態で判断して、まだしっかり乾いていない土に水をあげ続けたら根が延々と水浸しになって根腐れを引き起こしたりしないんでしょうか。植物ってそんな水ビシャビシャあげていいもんなんでしょうか。

そもそもまず「表面が乾いたら」ってだいぶファジーなのがまた困るのです。「表面」の判断基準も人によって違ってくるだろうし、鉢のサイズも材質も深さも、土質も植物の品種も状態もおかれた環境もバラッバラなものを一概に「表面(ファジー概念)が乾いた」というファジー基準で判断してしまっていいような気がまるでしません。そんなファジーに植物の生命線を握ってしまって本当にいいんでしょうか。ファジーなのは政府の緊急事態宣言にまつわる判断だけで十分ではないのでしょうか。

COVID-19はともかく我々と植物との付き合いは非常に長いので、植物を育て続けてきた先人の知見をもってすればきっともっと妥当かつ適切な判断基準があるのだと思うのですよ。あるいは現代の技術の進歩をもってすれば、でも。あるだろう。あるはずです。人類の知識経験の蓄積を私は信じたい。

私のような素人にファジーな主観的基準を与えたところで曖昧に曖昧が重なるだけです。重ねられた曖昧によって植物の根は過剰に水浸しになるかもしれないのです。素人とはそういうものです。
料理だってそうです。「塩少々ってなんだよ」「火加減?弱火って何?」とか言ってるうちに謎の味付けの食材がフライパンの上で表面黒焦げ中身は生焼けになっていくのです。素人のファジーさによって植物が死に食材が死んでいくのです。判断の曖昧さによって死ぬのは判断した者ではなく、その判断によって影響を受ける側なのです。聞いているか政府。

もう令和です。無知と蒙昧によって引き起こされる悲劇はなるべく減らしたいじゃない。
素人に知見をください。あるいは客観的判断基準をください。
私、もうこれ以上植物がドロドロになるのを見たくないの。

そもそも水やりってなんで必要なの

生きものに水が必要なのはそうだとして、植物は水をどう利用しているのでしょう。植物と水との関係とは?調べてみました!

植物による水分の利用

・光合成
葉緑体と光によって水(H2O)と二酸化炭素(CO2)から酸素と糖を作り出すナイスなシステム。水がないと栄養が作れないので水は必須。早く我々にも実装してほしいこの機能。

・蒸散
葉の裏にある気孔から水蒸気を放出する。根からの水分の吸い上げ・植物体の温度を下げる効果がある。

理科でやったわ。理科でやったわこれ。やった気がする。葉をヨウ素液に漬けてデンプンがあるか調べたり、導管を通じて水が上昇していく図とかノートに描くとかやった気がするわ。
きたわ義務教育。インターネットでしょっちゅう敗北している義務教育が勝利する可能性きたわ。

水がなければ植物は糖が作り出せないし、呼吸もできず体内温度の調節もできないわけで、それじゃあたしかに水がないと枯れて死んでしまうのも納得です。

植物の水分吸い上げについては「水ポテンシャル」という概念もあるそうです。へー初めて聞いた。

水ポテンシャル – Wikipedia

じゃあなんで水多くてもダメなのよ

となると水があるに越したことはなさそうなんですけど、水が多すぎると根腐れの原因になるのはなんでなんでしょう。水に浸っているのがダメなら水耕栽培とかアウトにならないの?

・根から酸素が吸えなくなる
どうもこれがよくいわれる理由のようです。「根が窒息状態になる」と表現されますが、厳密には根が呼吸しているというより、根の細胞が酸素を吸収し細胞内のミトコンドリアがエネルギー源であるATP(アデノシン三リン酸)を作る、という過程に影響が出るようです。

なに急にミクロの話になった。アデノシン三リン酸とか義務教育卒業以来聞いてない気がする。

つまるところ根がずっと同じ水に浸り続けていると水中の酸素濃度が低下し酸素欠乏、それによって根の細胞内のミトコンドリアがアデノシン三リン酸を生成できず、根の細胞が死に、根腐れを引き起こすということのようです。ほぇ~!!

なので水耕栽培は酸素の供給があれば問題なくできるんですね。謎が解けたわ。
水耕栽培の場合は熱帯魚の水槽とかに使う酸素ポンプを水中に入れて稼働させておくとよく育つとか。へ~!

・土中の酸素欠乏により嫌気性菌が増殖し、根を腐らせたりする
嫌気性菌のすべてが悪いってわけではなくてこのへんはバランスでしょうが、土が酸素不足になると酸素を必要としない嫌気性菌の勢力が強まり根に悪影響を及ぼすことがあるようです。土も菌とか微生物とかの微妙なバランスでできてますからそのあたりが崩れるとよくないんでしょうね。すげーな自然。

・根が蒸れて腐る
鉢の中が水びたしで通気性もよくない場合、気温が上がると根が蒸れるようです。気温上昇+蒸れのやばさは人類も熱中症などを引き起こしてよく体感しますし、これはあからさまにやばいですね。

同様に、根は湿潤と乾燥を繰り返すことで伸びる(乾燥状態のときに水を求めて根を伸ばす)といった情報もあったので、植物の設計は水分の有無のメリハリを前提としているんでしょうね。すげーな自然。よくできてる。
そう考えると、鉢植えという菌類微生物類のバランスが崩れやすい小さな世界でずっと水浸しの状態は植物にとって悪影響だというのも腑に落ちます。

また、自然界ほどバランスが保てない鉢植えにおいて、土中の不純物排出や確実な水の交換の意味でも、鉢底から水が流れ出るまでたっぷり水をやるというのも納得です。表面にかけただけだと内部まで水が行きわたっているかわかんないしね。

適切な水やりタイミングを知るにはどうしたらいいの?

ここからが本題です。植物たちの健康を守るために僕たちはどうしたらいいのか。適量で適切な水やりを継続するためにはどうしたらいいのか。インターネットで調べられる範疇で見かけた「土の表面が乾いたら水やり」以外の手法がこちらです。

・鉢の重さを計測して毎日記録する
正直「マジかよ」って思いました。思いましたが、妥当すぎてぐうの音も出ない。
乾燥状態の鉢の重さを量り記録、その後たっぷりと水をやり鉢底から余剰の水が流れ出きったところで再度計測し記録。その後は毎日計測して重さの減少を記録し、最初の乾燥状態での重量にほぼ等しくなったら水をやるという方法です。
やってみたらおもしろいと思う。おもしろいとは思うんだよ。いろんなことわかりそうだし。でも、でもさ、毎日それやるの大変だよ。たくさん鉢持ってる人とか毎日が健康診断会場じゃん。

おそらくここまで要求するシビアな植物(あるいはシビアな季節)はあるのだと思います。しかしハードルの高さよ。「もっと細かく知りたいとは言ったけどここまでは求めてなかった」みたいな気持ちです。自分が要求しているレベルの自覚って難しいよね。しかしこの方法の確実性はバリバリですからほんとに水やり苦手で過去に水によって殺した植物の数は数知れずみたいな人は試す価値ありだと思います。これが毎日できるマメな人なら植物枯らさないって?まあそう言うなよ。

・鉢を持ち上げて重さで判断する
重さで判断シリーズ、こちらは体感での判断です。鉢が軽いなと思ったら水やり。
まだ日が強くない2月、日当たりのいい場所を探してしょっちゅう鉢を動かしていたので、結果的に毎日持ち上げて重さを感じる生活をしていました。これは毎日やってみるとふっと軽くなるときがあって、そこそこ効果はあるように思います。
しかしこれも鉢の材質と土の種類にけっこう依存しちゃって、プラ鉢+軽めの培養土では水の重さがよくわかったんですが、テラコッタ鉢+砂利だともともと重いし土の保水性が低いので水分による増量が誤差レベルで違いがさっぱりわからん、ということにもなります。一般的な土と手で持てるサイズなら参考になるかな。

土に割り箸をぶっさす
土の奥深くの水分を判断する方法です。底まで割り箸を刺し、少し時間をおいて引き抜き、湿っているかどうかを確認します。
これは手軽だし効果ありそうです。ちゃんと中の状態を確認できるのもいい。私は己を信じていないのでいつか根とか殺りそうでこわいのでまだ試していません。

・土を指で掘る
底までとはいかなくとも表面より下の状態を確認する方法です。多少表面の土をどかしただけでもすぐ下に湿り気があるのがわかったりするので、安易な高頻度水やりを防ぐ効果はありそうです。こちらもどのくらい深くまで乾いたら水やっていいのかの判断基準がほしいところ。

・水分計を使う
やっぱり数値に頼るのがいちばん信憑性あるよね。頼ろうぜ文明。
水分計もいろいろな種類があって、計測方法も計測時間も価格もいろいろ。ひとつあると便利でしょうが素人どれを買っていいかわからない。また毎日もしくは数日おきに全部の鉢の水分計測はちょっと手間という気もします。あと刺したときに根を殺りそう。私はこの点においてかなり自分の手元への信頼度が低いのでしょう。

実際に試してみよう

水分計は便利そう。でも毎回刺して調べるのも手間だな……ということで、そのあたりの問題を解決してくれそうなものを試しに購入しました。
それがこちら!

キャビノチェ SUSTEE 水やりチェッカー サスティー M サイズ グリーン C-0012-GR

公式サイトはこちら↓

さしっぱなしで使える水分チェッカーです。数値ではなく色の変化で水やりのタイミングを判別します。土にさした状態で水やりをすると本体内部の芯材が土中の水を吸収し色が変わり、土中の水が減ると芯の色も元に戻る。この繰り返しで水やりのタイミングがわかるというものです。

画像は公式サイトより

「pF値」とは、土の中の水が土の毛管力によって引き付けられている強さの程度を表す値のことです。土の湿り具合を表す値でもあります。
一般に圧力の単位の一つとして用いられます。
十分に水を含んでいる土の場合pF値は低く、植物の根が水を吸いやすいことを示しています。
逆に土が乾燥してくるとpF値は高くなり、水をすいあげるには高い力が必要となります。
畑地の場合、通常pF値は1.5~2.7(成長有効水)でこれ以下では水分過多となり、これ以上では水分不足となります。

https://sunhope-aqua.com/glossary006_04/

pF値が高くなると水を吸う圧力も高くなるってことですね。知らないことばっかりだわ園芸界。

つまりサスティーは毛細管現象を利用して水分量を可視化する水分チェッカーなんですね。これは一度さしたら芯材がもつ限りは抜かないでいいし、色の変化なのでぱっと見ですぐわかって時間もかからなくてよさそう。
うちにいる植物たちがいい感じに乾いてきた頃合いを見計らってサスティーをセットし水やりをしてみます。

サスティーを試してみる鉢たちはこれだ!

ひとつめはうちで緑の地上部が出ている貴重な存在(2/18現在)である苗さん2名。丈夫で初心者向けでほっといても育つと評判の方々です。こちらは写真ではわかりにくいですが深鉢に入っているので土が深くて水やりのタイミングがまじで不明。鉢の中がどうなっているかぜんぜんわからないので「持ち上げて軽くなってそれっぽくなったら水をあげる」という曖昧雰囲気水やり対象の急先鋒です。この植物はどうも乾燥気味のほうがよいらしいので水びちゃびちゃは避けたく、何の根拠もなく10日に1回くらいのペースで水やりをしています。何の根拠もなく。

すでにセッティングされています

もうひとつは植え付け以来まったく動きのない宿根3名。1株頼むつもりが3株頼んだことになってたやつです。まったく動きがないのでそれこそどうしていいかわかりません。以前の記事で水はけ抜群の土(というか砂利)に交換したので水やりした端から鉢底に水が流れまくり、鉢内に本当に水が確保されているのかすら不明です。不明と不安しかないのでサスティーの力で安心したい。

サスティーをさして水をあげると、上の写真のようにサスティー上部の窓から見える芯材が白から青に変化します。下のほうからじわじわと色が変わっていくのでやっぱり水を吸い上げているんですね。このままの状態で様子を見て、芯材が白に戻ったら水やりのタイミングよと。

なんですけど、サスティーが水を吸い上げて色が変わりきるまでの時間は鉢の状態によって変わるらしく、宿根の秒で水が流れ出る砂利砂利な土では吸い上げる水の確保が難しいのか、一度の水やりでは色がまったく変化しないケースもありました。もう一度水をかけたら無事色が変わりましたが。

2/18に苗1鉢と宿根3鉢に水やりをして、その後の経過を観察します。

2/21の宿根鉢。白に戻りました。

水やりから3日後、宿根鉢のサスティーは白に戻りました。中の根がはたして生きて水を吸っているのかどうか不明なものの、やはり砂利砂利の土は乾きが早い。前回水はけの悪い土で球根を腐らせた経緯を踏まえると腐るよりすぐ乾くほうがよほどマシです。少なくとも中の球根が腐る環境ではなさそうなので、このままサスティーの指示に従い水やりを継続します。

2/24の苗ズ。2鉢の水やりのタイミングが異なるので乾き具合も違います。表面が乾いてもサスティーは青い

水やりから6日後。2/18に水をあげた左側の鉢は表面がすっかり乾いています。角度でわかりづらいですがサスティーはどちらもくっきり青。想定していたとおり、表面が乾いても内部はまだしっかり水が残っているようです。表面だけを手がかりにしていたら水あげすぎになっちゃいますね。

さらに過ぎること数日。サスティーはぜんぜん白くなりません。来る日も来る日もしっかりと青いまま。
こんなに乾かないものか?本当に水は残っているのか?もしかしてサスティーが誤作動しているのか?

そして水やり11日後の3/1。

肝心なところにピント合わない問題

サスティーがついに白くなりました。前日まで気配がなかったのに急に真っ白に。サスティー誤作動してなかった。ちゃんと白に戻りました。

この苗は乾燥ぎみにしておくべく、白くなっても少しそのままで、2日あけて3/3に2回目の水やりをしました。
あれ、曖昧雰囲気水やりの10日に1回、案外はずしてなかった?

その後も継続して水やり日時を記録し、サスティーの様子を見ています。頑丈な苗さんは2名とも、3月半ばまではきっちり水やり11日後にサスティーが白くなりました。すげぇー!ライフサイクルすげぇー!
3月下旬からは白くなるのが9日後になり、直近では7.5日後になり、着実に水の減りが早くなってきています。気温が高くなったからか、苗が活発になってよく水を吸うようになったのか。春ってこうやって来るんですね。すごいなぁ。これは園芸やらなかったら知らなかった春だ。

宿根のほうは2~3日ペースで白くなります。日当たりがいいと特に早いです。水切れもよろしくないのでこまめに水をあげて、3/28についに念願の芽が出ました。

前日まで更地だったのにいきなり出てきてて本当にびっくりした

(主に土質の問題で)2回も土を交換する紆余曲折を経て、生きているのか死んでいるのかわからず大いに気を揉んだ宿根の生存が証明されました。感無量です。よかった無事で。数日かけて3鉢すべて出芽しました。
この宿根たちが無事にここまでこられたのはサスティーの力あってのことといっても過言ではありません。なかったらどこかのタイミングで腐るか干からびるかだったかもしれません。サスティーに助けられた命です。本当にありがとう。
今のところ水やりのペースは変わっていないです。たぶんそう遠くない未来に毎日水やりの日々が訪れるでしょう。

おまけ。
サスティーがいい感じなので、3月中旬に購入した新苗にも装備させました。

こちらは先にいる丈夫な苗2名と同じ深鉢を使用しています。用土は異なりますが、初回はなんと4日でサスティーが真っ白になりました。その後は4~7日の範囲で割と一定ではありませんが、なんとなく週一水やりの傾向が見えてきているところです。めちゃめちゃ生育旺盛で生命力きわまってるみたいな苗で水の減りもすごい。こちらは水をそこそこ必要とするらしいので白くなったら早めに次の水やりをしています。
なるほど~、同じ鉢でも水の減りにこれだけ差があるのね。そりゃ水やり難しいわけだわ。

園芸界では「水やり3年」といわれるそうです。植物にまともに水をあげられるようになるまで3年はかかるぞ、ということですね。確かにそうかもしれません。品種も用土も鉢のサイズもみんな違うものに適切に水やりするなんて、3年でいけるんでしょうかむしろ。その3年をスキップして水やりできるんだからサスティーすごいですね。
いずれ慣れたらサスティーの補助なしで……と思っていたんですが、まだまだ手放せそうにありません。

うちの無ばかりだった鉢たちもほぼ地上部が現れ、一気に春めいてきました。日々めちゃめちゃ伸びる(ほんとにめちゃめちゃ伸びる)苗や芽を楽しめるようになって、2~3月に心配と不安におののきながらもあれこれやってみてよかった……と思う日々です。

水やりの苦労を語るうちにサスティーを褒めちぎる記事になりました。ほんと便利なので水やりに悩む人はぜひ。

キャビノチェ SUSTEE 水やりチェッカー サスティー M サイズ グリーン C-0012-GR

その他参考サイト

球根腐らせてワーワーしてる前回の記事はこちら