【ステイホーム園芸生活】すべての希望の球根たち、生きて芽吹き、花を咲かせよ、と

去年のステイホーム生活中、開催中止になった『入谷朝顔まつり』出品予定だったという朝顔を買いました。これがどんどん伸びて毎日花が咲いて、どこにも行けずに干からびそうになっていた私の心をとても癒してくれたので今後も植物育てようかなと球根を植えたのです。去年のクリスマス前に。通りがかりの花屋で売れ残って半額で投げ売りされているところに出会ってしまった球根を。2種類。

わりと広い公園とかで咲いてるのを見かけるけれど花屋に売っているのを見たことがない植物がありまして、私はその花がけっこう好きでどこかで買えて育てられるものなら育ててみたいと思っていたんですが、オンラインショップで探してみたら取り扱いありました。うれしいですね。買いました。

以前インターネットでたまたま見かけた変わった色の花、綺麗な色だったのでぜひ実物を見てみたくて種を購入できるところを調べたらどこもかしこも売り切れだったもの、季節を経て再入荷していました。またどんどん在庫が少なくなっていっていたので今度こそ売り切れる前に種を確保しました。

園芸に本腰入れるならあの花も植えてみたい、でも種1000粒から販売って書いてあって個人では無理やん、と思っていたものを別のサイトで検索してみたらもっとたくさんの花色が扱われていてまあびっくり。花色ってほんとに数多くあるんですよね。知らないことばかりだ。テンション上がって気に入ったのを思わず買っちゃった。

園芸ネット通販ってものすごく沼なんですね。とりあえず検索かければいろいろ出てくるし品種も豊富。知らなかったような色のものも扱われています。「この花を買ったあなたにはこちらもおすすめです」とまた好みの花を勧めてくるし、「えーこれもかわいいー!」とかやっていると無限に抜け出せません。「えーかわいいー!」と思っちゃった花をつい購入しました。1株買ったつもりが3株。

そんな感じで植物まみれです。
このまま今年はわが家が花まみれになる予定なんですが、今は冬、花はもちろん影もかたちもなし。注文した苗たちの多くもある程度育ってからこちらに届くことになるので、現在ほぼ球根とわずかな苗の面々と共に暮らしています。

本当に生きているのか?

まず球根なんですけど、そもそも春咲きの球根ってだいたい秋~冬に植えるんですけど、当然ながら春になるまで芽吹かないので生命の気配がありません。クリスマス前に植えてから2月になるまで植木鉢には土しかない。ずっと無。無です。いや無でもいいんですけど、問題は無のなかにあって球根が本当に生きているのかどうか、こちらには芽が出るまでわからないことです。

私は己の園芸の腕を基本的に信用していません。枯らした植物は数知れず、基本丈夫であるはずの多肉植物たるハオルチアすら枯らした実績があります。ハオルチア枯らすか?多肉植物を?

およそ枯らすに至るのは己の無知と仕事にかまけて植物に手をかける余裕がないゆえなんですが、理由がどうであろうと枯れたものは枯れたものです。この人生のうちで枯らしてきた植物たち、その申し訳なさと、それでもなお繰り返し植物に手を出すうしろめたさ、生きものを己の欲望の充足のため命を恣にするこの業から目をそらすな。

まあそこまでいかなくとも、植物育ててやっちまった経験があると何かあったときまず己を疑うんですね。そしてなかなか芽が出てこない冬の球根、もう悩みの始まりですよ。

地表に出ている苗だったらとりあえず状態が目に見えるので好調不調がわかりますが球根はそうもいきません。土しか見えない。中で何が起きているのかわからない。元気に成長しているのか命が尽きているのかもわかりません。元気であろうと死んでいようと春がくるまで答え合わせができないのですから。

さらにこちらは己の園芸の腕を信用していない身と、売れ残り出身で状態がいいのか悪いのかよくわからない球根のペアです。信頼という言葉があまりにも軽い。
水やりすぎて土中で腐っているのでは、とか、球根のパワーが足りていないのでは、とか、信頼のなさゆえに疑いばかり生じる日々。とても安心などできません。ゆったり構えて成長を見守る(見えないけど)などとはほど遠く、「やっぱダメだったのかな……芽が出たら儲けものみたいなものだし……」もはや一部あきらめの境地に至りかけていました。

芽、出る(ただし1種類だけ)

無の植木鉢と共に2月を迎えました。水をやったりやらなかったり、眺めたり眺めなかったりしながら迎えた2月の夜、ふと思いついてTwitterで「植物名 芽」で検索をかけてみました。
「芽が出てきた!」というツイートがそこそこ見つかりました。

うちのまだ出てきてないんですけどぉ!?

出てんじゃん!出てんじゃんよそのうちは!芽!うちの子は出てないのに!
よその子の成長と比較!
育児か!

ぼんやり気分も一気に吹っ飛び「え、うちのいよいよダメだった……?」と嫌なほうの答えを突きつけられた緊張感にひやひやしながら、翌朝起きるやいなや無の植木鉢に向かい隅々まで確認しました。

芽出てませんでした。

せめて球根の状態がどうなっているかだけでもちゃんと確認しようと、球根表面の土を払ってみました。

芽、ありました。
うちの子生きてました。

球根8個のうち5個発芽してました。
植木鉢、無じゃなくなりました。

ほっとしたなんてもんじゃないです。その後どうやって仕事を開始するに至れたかろくに覚えていません。その日は一日中頭の中が生誕パーティでした。

芽、出ましたよ芽。生命の息吹ですよ。春、これが春の到来。
奇しくも立春の日の発芽確認だったためになおさら春感がすごかった。演出されています。春が。
春が、春が来ました、私に。わが家に。

しかしなおも続く無

こうしてクリスマス前に植えた球根のうち1種は無事発芽が確認されましたが、もう一方の球根は現在まで変化がありません。まだ時期ではないのか、この腕の問題なのか、まだ答えは出ません。
こちらはどうにも鉢の水はけが微妙で土が湿った状態が続きがちなので正直心配です。生きてほしい。生きていてほしい。いまここにある無は花開く未来につながっていると信じたい。どうか花咲く春をくれ。

そして最近新たに買った「えーかわいいー!」の3株、こちらは球根というか宿根なんですが地中に埋まっていることに変わりはありません。こちらも無です。3株の無。こちらは植えて1週間なのでまだまだ春は先でしょう。開花は5月ごろらしいので発芽もまだ先なんじゃないかな。きっと。たぶん。

こちらはインターネット情報が種もしくは苗から育てる場合のものばかりで、根を植えて発芽させる場合の育て方がいまのところ見つかっていません。初心者なのにいきなり先も見えずロールモデルもない園芸に突入してしまいました。いきなり妙なところから攻略。オープンワールド人生。

ところで植物の種とか球根って「まきどき・植えどき」「開花期」のおおよその目安はパッケージに書いてあるんですが、「発芽時期」は基本載っていません。なのでまいたもの植えたものが発芽時期に突入しているかどうかなど私のような素人にはわからないのです。

「えーかわいいー!」の3株はパッケージももちろん発芽目安などもなかったんですが、「大きく成長します(3株もあるのに!?)」「3~5年後に株分けしてください(さらに増える!?)」って書いてありました。数ヶ月先の未来もわからないのに3~5年後の未来を語られてもどうしようもありません。僕らがいま欲しいのはほんのわずか先の未来への希望だっていうのに。

それでも春には花の実物を見て「えーかわいいー!」やりたいので成長に期待しつつ楽しみに待っていますが、この鉢の無を見る限り数ヶ月で本当に大きく成長もっふもふになるとはにわかには信じられません。本当にそんなことになるのか。大丈夫だと思いつつももしかして「芽は出ますが開花は翌年以降になります」みたいな話なんじゃないかとの疑いを拭いきれません。

わからないまま待つしかない、そしてどこまで待てば答えが出るのかわからない。終わりが見えない待ちの日々。園芸に求められるのはまず待ちの姿勢だと知りました。
花まみれの写真をアップする未来が数か月後に訪れると信じて、今日も私は待ちます。

トータルでいうと無の割合多い

こんな感じで現在のわが家の植木鉢メンバーは、

・どのサイトにも「たいへん丈夫・育つ場所を選ばない・初心者にも育てやすい」と書かれている苗×2(現在わが家で唯一の葉が出ている勢。翌年以降開花予定)
・球根入りプランター(祝・発芽🌱)
・球根入り鉢(現在のところ無)
・宿根入り鉢×3(こちらも無)
・越冬トライ鉢(地表部刈り取ったので無・生死不明)

ほぼ土です。
ほぼ土。

まだしばらくは無を眺め水をやる日々が続きます。
無でもいい。やがて太陽が昇り、すべての希望の種の上に輝いたときに芽吹き花を咲かせてくれれば。だから見えなくても元気でいてお願い。

かまりえが右往左往しながら植物を育てる園芸シリーズ、次回は「水やりむずかしすぎてまるでわからん」お楽しみに!